プロになるための先生の選び方

日本では「もし、proを目指すのならば、教授classの先生に師事しないといけない」という考え方が一般的です。
私としても、その考え方自体は、吝かではありません。
昔々、教室を開設して間もない頃のお話なのですが、生徒を教え始めた時に、私が指導している生徒の中の一番弟子の生徒が、とても上手になったので、引っこ抜きにあって、芸大の教授の所に弟子入りに行ってしまいました。
誘ってくれた人の建前では、「2,3度lessonを受けて見て、気に入らなければ、元の先生の所に戻れば良いのよ!!」という事だったのですが、実際にはそう簡単な事ではありません。
「取り敢えず、結婚して、気に入らなければ、別れれば良いのよ!」というadviceをよく聞いた事があるのだけど、それで別れても、傷つくのは本人なのだけどね??私は男性なので、そうまでして、結婚したい気持ちは分からないのでネ⁉

「先ず、1,2度、lessonを見て貰う」・・というお試し期間のようなlessonは、少なくとも音大の教授classになると、無いのですよ。
一度、lessonを見て貰ってしまうと、その次点で、100%、師弟関係が成立してしまうのです。
その先生が、気に入らないから、弟子入りするのを止める…というのは、音楽の社会的には、許されないのが現実なのです。
それで、私の生徒であったその生徒は、憧れの芸大の教授に、初めて指導を受ける事が出来るので、喜んでいたのですが、実際に指導を受けて、余りの事にcultureshockを受けて、1年間は辛抱したのですが、直ぐに音楽自体を止めてしまいました。
だって、芸大の主任教授なのだから、それ以上、上の先生はもう日本には、いないからなのですよ。
そういった事が、その後も、立て続けに2人,3人と続いたので、すっかり音楽教室を続ける事が嫌になってしまいました。

・・と言う事で、優秀な生徒達に逃げられてしまう・・という現実の社会に少なからず、shockを受けて、教室を存続させるか否かを悩んでいたら、何時も楽器を買いに行く楽器店の社長のお姉さんが、「芦塚先生❢ 律儀に子供を教えないで、或る程度上手くなったら、芸大の先生にドンドン回せば良いのよ❢❢ そうしたら、あの教室で教わって上手くなると、芸大の先生を紹介して貰えるよ❢・・と言う事で、生徒が集まるわよ!」というadviceをして来れました。

「芦塚先生が何でそこまで、子供に執着して生真面目に指導するのか分からない??」とも、言っていました。

例え、芸大の教授であったとしても、子供を指導する限り、生徒がその先生の元を去って行くのは、仕方のない事なのでね??
だから、子供を指導する先生で、生徒に執着する先生はいないのですよ。
そんな事しても、自分には何も返って来ないので、そういった努力をしても、仕方がないのでね。

まあ、そりゃあ、そうかも知れないけれど、真摯に指導するためには、或る程度は、のめり込まないと生徒は上手くならないのでね??
のめり込んで、生徒に逃げられて、苦い思いをしてもしょうがないのだけど、まあ、ほんと、痛し痒しの所なのかな??

そういう事で、当時の生徒達には、取り敢えずは、日本の有名音楽大学に進学させるのは止めて、高校生から直接、海外に留学させる道を選らんだのですが、その子供達の、その後をみると、それも、まあ、良し悪しよねえ??
結果論的に言えば、やっぱり、私が、自分で指導した方が一番結果は、良かったのですよ。

まあ、「proになりたければ、芸大の教授に・・」は、許せるとしても、そういった「親方日の丸・・か、寄らば権威・・」で、「proの道が約束された」・・と思い込むのは、余りにも安易で、浅はかな話ですよね。
そんな都合の良い話がある分けはないのに、それを信じている人がいる。
現実的にどの社会で、親方日の丸で、現実的に、その生徒の将来が約束される事はあったのかな??
私はそれを、一度も見ていないのですよ。
本当に・・??
だから、「proになりたければ・・」というのは、幻想に過ぎないのです。

音楽のお話なので、現実の生活を伴わないので、そういった妄想が起こりやすい事は事実なのです。
だから、私の冠動脈のお話をすると、10年前の、当時は手術の技術levelが低かったので、(この10年間で医療は目覚ましい進歩を遂げています。10年前の医療の技術は、今に比べると、殆ど原始時代に近いものがあります。)
私が50歳を過ぎた辺りから、心臓の異変に気づいて、江古田教室の近場の民間の大きな総合病院に通っていました。「冠動脈が・・」とか何時も言っていたので、一応、循環器内科に通っていたのですが、若い先生達は「素人が何を言う」と取り合ってくれませんでした。通い始めてから、5年以上経った頃、やっと心電図に引っ掛かって、大学病院に日帰りの検査とダメならその場でドリルで治療という予定で出掛けたのですが、治療が不可能で、ダイヤモンド・ドリルを準備しての再検査になったのだけど、それも無理の手遅れと言う事で、パイパス手術と言う事になってしまいました。
そこの大学病院では、人工心臓を付けての手術で、3本の内の1本だけを生かすのが精一杯という事でした。その場合には、生命を司る頭に行く血管だけを助けるので、寝たきりになる予定だったのですがね。
先生達が必死に色々と病院の名医を探してくれて、当時は未だ非常に珍しい(今では当たり前の手術になってしまいましたが)心臓を動かしたまま、手術をする先生を探してくれました。
緊急入院をした大学病院のCatalogには、セカンド・オピニオンを推奨する・・と書いてあるのですが、現実は全く違って、「もし、何かあってもこの病院には戻らないでください。」と喧嘩を売られてしまいました。
勿論、戻る気もないけれどね。

今では超有名な先生であるその先生も、当時は日本のacademismと真っ向からの喧嘩をしている先生で、その先生の手術の技術のお陰で、今もこうして働いている事が出来ます。感謝感激です。
当時の周りの人達からは、「何で大学病院を逃げたの??」と不思議がられて、ブーイングをされてしまいましたが、自分の生死が掛かっているのだから、親方日の丸では無い…大学の教授が良い、なんて言ってられないのですよ。
本当に治せるか否かが問題なので…ネ?

でも、音楽の事、教育の事となると、そこまで真剣に、真摯に取り組む人は少なく、周りの無責任な意見に惑わされる人達が多いのは事実です。
その話をしていたら、岩城さんに「それもその人の才能の内なのだよ❢」と言われてしまいました。
岩城さんも芸大を中途でやめた人なのでね。
徳さんも高校で勉強の途中でN響のコンマスになったしね??

何時も言っているように、音楽に学歴は必要はないのですよ。
職業なので当たり前なのだけどね。どうしても、日本人にはそこの所は理解出来ないのだよ。
一般の人達は、常に「寄らば・・」なのでね。

実際に、その現実を見たければ、芸大のOBの団体のhomepageがあって、毎年の卒業生の就職先をupしているのですが、それを見ると、音楽の最高学府である芸大ですらその現実なので、ましてや一般の音楽大学のいやんやがなの現実が見えて来ます。

それを実際に目にした人達は、その現実に、愕然として、その人自身が、余りにも思っていた現実とのgapに、驚いてしまう人達が多いのですが、私達のように、実際にその現場で生活を長くして来た人間としては、一般の人達のそのような思い込みは、realityがなくって、妄想に過ぎないので、結構、見ていて笑えるのですよ。もし、「proになるには、・・」という人が、そのhomepageを見て、自分の意見を更に周りに言えるとすれば、それは頑迷の世界ですよね。

だから、音大生の多くの人達は、日本で音楽を学ぶ事を諦めて、海外に留学をします。
山のあなたの空遠く・・か、隣の芝生は青い・・かどうかなのでしょうね。
しかし、憧れの留学を終えて、日本に帰って来たとしても、日本の音楽界の現実は厳しいものがあります。
と言う事で、日本の音楽の世界には、Classicをやっていては生きては行けない。という通説(定説)があります。
私に言わせれば、音楽の世界では、音楽を教える人も、学ぶ人達も、お嬢様、お坊ちゃまの集団であり、生活のための音楽を学ぶ事も教える事もないのですよ。
だから、「音楽は職業なのでは??」と私が言うと皆、ズッコケルのですよ。アハッ!

はっきり言って、proの道は、そういったacademismの延長線上にはないのです。

学校のacademicな勉強を何百年続けたとしても、それが職業になる事はないのだよ❢❢
当たり前でしょう??
proを続けている人なら、皆分かる事なのだけど、親方日の丸どっぷりの人達には分からないだろうな~あ??

斉藤先生達が未だ高校生の頃に、私の高校の時の同級生でproのorchestraのownerをやっている人に「オケに入団するかい??」と誘われたのだけど、先生達(当時は高校生ですよ❢)は、「教室の先生が良い❢」と言って、その申し出を断ってしまいました。

梨紗さんが高校生になった頃のお話なのですが、その私の同級生のownerの人も歳を取って、スポンサーになって、ownerを続ける事が辛くなって来たので、最後の機会と言う事で、私が、「高校を中退してproオケに入団するのなら、最後の機会なのだから入団させてあげるけれど・・」と、梨紗さんを誘ったのだけど、「高校生活も音楽大学の生活も全うしたい❢」という事で、梨紗さんに、断られてしまいました。
もう、それから5年近く過ぎているので、私も、・・私の友人も、もう歳なので、そういった音楽の現場には力が及ばなくなってしまうので、当時は、「最後のchanceなのだよ❢」と言う事は、しっかりと確認した上でのお話だったのですがね。
もし、彼女が将来「proのorchestraに入りたい」と考える事があるとすれば、勿体無い話ですよね。

・・っていう話をしていたら、「何故、proオケに入団するのに、高校を止めなければならないの??」と質問して来た人がいるので、それに答えるのは、バカバカしいのだけど、敢えて書いて起きます。
オケに入団をする・・という事は、「就職をする」と言う事なのだからですよ。
「就職をした人間が、同時に高校に通う」という事は有り得ないじゃあないの??
そこの勘違いも、音楽を趣味としてしか、見ていない証拠なのですよ。その水準に答えなければならない・・という事は、私に取っては、とても悲惨な現実です。

音大生に向かって質問してみてください。
「どうやればproになれる・・と思うのか??」って・・。
多分、その答えは、「技術を磨く事」と回答するはずです。

確かに、完璧に技術を磨いて、concoursには通るかも知れません。
しかし、concoursに入賞したから・・と言って、proになれる分けではないのですが、その現実を見ようとはしないのですよ。
つまり、音楽を勉強する学生の皆さん達は、夢を見ているのよね??
「見ている夢」を壊すような事を言っては、大人気ないよね~ぇ??
ここら辺迄にしましょうかね??
今日の愚痴は・・・アハッ!